純情旅日記
第四章　〜苦渋のバトルロード 勝ちたいんや！〜

あれから数ヶ月。セラニポージは大きな壁にぶつかっていた。
大イカに喰われかけ、蜘蛛に毒殺されかけ、迷宮で悪夢を見て、亡霊軍団に惨敗。

また負けるのか・・・　それも仕方ない・・・

……―――ドゴォッッ！！

セラニポージは自分で自分のみぞおちを思いっきり殴った！

ふざけるな・・・！　何が「仕方ない」だ！
勝たなきゃならん！　私は勝ちたいんや！

ただいまの連敗記録・・・

深海の盟主たち[+レナータ]→クラーケンから逃げられない　攻略可能性20%
蜘蛛退治の依頼→一人旅ではラストバトルを4ラウンド以内で終わらせないといけない　攻略可能性5%
彷徨いの迷宮の鬼獣帝→ラストバトルで古びた剣が重たくて敵の攻撃を回避できない　攻略可能性60%
古城に捧ぐ鎮魂歌→ラストバトルで団長が倒せない・・・一度は重傷まで追い込んだのに！ 攻略可能性80%
この章から難易度がインフレしていきます。☆の最大値を一つ増やしておきました。

＜セラニポージ＞

「久々の・・・！勝利・・・ダァアァァァァーーーーー！」
このとき、私はまだ気付いていませんでした。一時の憂さ晴らしで失った物の大きさを・・・

ベスの憧憬 - 体力回復、精神力回復、魔法完全防御。便利というかほぼチートアイテムだったが、この戦いで消滅。
後ほどの戦いでこれがあったら楽になった場面がいくつあった事か・・・

＜セラニポージ＞

また大蛇の首を焼き切る作業が始まります。
るーるるー・・・・

＜セラニポージ＞

というか・・・蛇を番人みたいな扱いにしてるくせに蛇殺しを金とって調合するっていかがなものなのでしょう？
まぁ、こちらにも冒険初心者がいますし、血なまぐさい事は避けたいので、穏便に金で解決しましたけど。
はぁ、半年も探し続けていた槍なのに・・・

＜あぁ、げに美しきかな友情よ＞

大蜘蛛「トラップカード発動！伏兵の蜘蛛！」
セラニポージ「甘い！碧海の精霊術師でガード！続けてサラマンダーが伏兵の蜘蛛に攻撃！友情の勝利よ！」
精霊術師「いい加減にしなさい！」

＜セラニポージ＞

回避こそすべてッ！紙装甲？当たらなければ問題なしッ！ 我こそは回避大臣！我が回避は七大陸に響き渡るであろう！

セラニポージ「「ただいまですー」ですー」

雑踏でにぎわう宿の一階の酒場にて、帰還を報せる元気な声。
長い旅路を終えた一人の冒険者が、無事にこの宿へと帰還したのだ。

ただ、いつもならざわめきに紛れ、ねぎらいの言葉が聞こえてくるはずなのだが・・・
なにやらおかしい。セラニポージを見た客や冒険者が静まり返っている・・・

酒場の客「ぎゃ、ぎゃああぁぁぁ！」
一瞬の間をおき、酒場の一般客が大声で叫んだ！

セラニポージ「「な、なんなんですか！」ですか！」　「「そのおばけでも見たような驚き様」ですよねー」
セラニポージ「「ん？」ん？」

近くにいた冒険者が、セラニポージに背中を見るように促す。
セラニポージ「「うしろ？」おっと」　「「何もいないじゃないですか」クスクス」

親父「何を連れてきとんだ、お前は」
カウンターから出てきた親父が、セラニポージの背中にくっついた半透明の人の頭をむんずと鷲づかみにする。
半透明「ぎゃー！なんで素手でつかめるんですかー！」

―――

セラニポージ「で、何してんですか・・・？」
クラリス「いやー。私もあそこで成仏できると思ったんですけどねー。ちょっと冒険って面白そうかなーって思ったら・・・別にすぐ逝く必要もないかなー、と」

セラニィ『・・・・』　半透明『・・・・』

セラニポージ「さ、教会へ行きましょうか」
クラリス「ぎゃー！ちょ、ちょっと待ってください・・・あの、今日はヤボ用が！」

『だまらっしゃい！躯は土へ、魂は空へ！それが自然の摂理です！』
『そんな殺生なぁ・・・って、なんでみんな素手でつかめるんですかー！』

―――

騒がしい者達が過ぎ去り、静まり返った酒場で親父はつぶやく。「やれやれ。また少し、宿が賑やかになりそうだな」